第1話 内容・ネタバレ
ープロローグー
時代は、欲望が解放された時代。500年の永きに渡る中国春秋戦国時代である。
ー紀元前245年「秦」ー
草原の中で響き渡る音。
「カッ」「カン」「ガッ」木剣を手に斬り合う少年2人。
1人の打ち込みを受けたもう1人が反撃に転じ防御ごと吹き飛ばす。
次の瞬間視界から消え、死角から切り込み勝負あり、、、と思った瞬間、間一髪かわし逆に勝負あり。
勝負に勝った少年は名を「漂」と言った。この2人の勝負は333勝332敗587分けで漂の勝ち越し。
負けた少年の名は「信」と言った。
2人は戦争孤児で、村の里典に養われていたが、その扱いは奴隷同然であった。
2人は藁の上で寝、里典の家事を手伝いながらも大きな目標のために日々鍛えているのであった。
ある日、いつものように使いの用事で外に出たついでに木剣で仕合をしていると、一台の高貴な馬車が通りかかった。
馬車の主は仕合の様子を見ると驚いた様子で御者に馬を止めるよう叫んだ。
馬車の主は高貴な雰囲気を持っていた。
そんなことは気にせず食ってかかる信を漂が制し話し出す。
「生まれの良さそうなあなたには理解できないでしょうが…」
漂が主に語ったことは、漂と信、2人の夢は、その名が中華全土に響き渡る、天下最強の大将軍になること。
その話を聞き豪快に笑う馬車の主。この出会いが秦国の暗雲を吹き飛ばすものになる予感を感じ取っていた。
ー翌日ー
漂と信が作業から戻ってくると、昨日の馬車の主が2人の家を訪ねていた。
養父である里典がなぜが漂にだけ優しい…
そして漂だけが中に呼ばれるのであった。
部屋の中には、馬車の主と漂、里典の3人。信は部屋の外から耳を立てて中の様子を伺う。
馬車の主は名を「昌文君」と名乗った。
なんと王宮に侍る大臣だという。
それを聞き驚く漂と信。
しかし、昌文君の口から発せられた言葉はさらに衝撃の一言であった。
それは漂が明日から宮廷で働くことになったということだった。
昌文君によると、王宮で召使いではなくれっきとした士官とのこと。
ただし、連れていくのは漂ただ1人…
漂はその士官の話に即答できず、返事を1日待ってもらうことにした。
夜ー
漂と信は互いに背を向けて横になっている。
漂が即答で士官の話を受けなかったことを、信は疑問に思っていた。
もしや俺に気を遣って断るんじゃ…
そんなことを考えている矢先に、漂が士官の話を受けることを語った。
覚悟を決めた顔つきの漂を見て信は漂の覚悟を感じ取った。
2人は夜の草原で2勝分をかけた最後の仕合を行うのであった。
ー漂が都へ行ってから1ヶ月ー
信はがむしゃらに働いた。周りがその変化を感じ取るほどに。
そんな折、信は現在の秦国の内情を耳にする。
それは大王の座を王弟・成蟜が狙っているというものだった。
大王と王弟はまだ年若く執政できる年齢ではないため、これは王弟派によるもので、大王の後ろ盾である呂丞相も内紛にならないように尽力していた。
しかしその尽力も虚しく、ついに王宮に火が上がった。
王弟派が子飼いの暗殺集団を用いて事を起こしたのである。
ある者の話によると王宮の裏門から傷だらけの死体の山が運び出されていたという…
しかも漂を士官させた昌文君は大王の側近中の側近。
確実に大王一派は生きていない…
それを聞いた信は、激昂する。
あの漂が死ぬわけない。
士官前日、最後の仕合をした夜、誓いあったのに。。。
静寂の中悩む信。
その中で外に微かな気配を感じる。
コン
戸を叩く音。
戸を開くと、そこには腹部から血を流した漂が横たわっていた。
ボロボロの漂を見て叫ぶ信。
声に気づき起きてくる里典とその家族。
医者を呼ぶことも止め、最後の力を振り絞り、現在の状況を話し始める。
王弟の反乱に巻き込まれたこと。
王弟の勢力の大きさとその執念深さ。
間も無く王弟の追っ手がここにまで来るということ。
最後に漂は里典に危害が加わらぬよう、自分の亡骸は追っ手のなすがままにと伝える。
漂には誰にも触らせない、皆殺しだと復讐を誓う信に、漂は地図を渡す。
その地図には”黒卑村”という村の地図。
漂はその地図が示す場所に今すぐ行けと言う。
困惑する信に対し、鬼気迫る表情で託す漂。
漂の死を目前にし、涙が止まらない信。
そんな信に対して漂は俺たちは2人で1つだと語りかける。
漂の最期の願いは、信に天下に連れて行ってくれということだった。
言い終わると漂は静かに眠りについた。
もしも第1話がこうだったら、、、
もしも漂が死ななかったら
もしも漂が死ななかったらどうなっていたでしょうね〜。
信と2人で初陣の魏攻略戦に行ってると思います。
あれ、伍は誰が外れるんだ、、、多分羌瘣かな。。。
このもしもでは羌瘣出てこないっすね( ;∀;)
それか信と漂は別の伍に入って、信はそのまま縛虎申の隊に、漂は壁の兄ちゃんかな〜。もしくは尚鹿の隊に。
漂は活躍してたのだろうか。。。
もしも信が士官してたら
兆が一、信に士官の話があったら、、、ってあるのかそんなことが、、、
もしあったら、影武者ではないにせよどう考えても務まらない、、、
信が少しずつ変わっていったのは、漂という面倒見てくれる人がいたから自由に振る舞えたのであって、いきなり士官してたら暴れて死刑!キングダム完!になってそうですね。。。
それでも悪運の強い信のことなので、王騎に認められ、王家に士官なんてこともあったかもしれません。
第1話 感想・考察
歴史超大作漫画「キングダム」の記念すべき第1話です。
本漫画の主人公「信」がもちろん登場します。その信のルーツが語られる話です。
よく言われていることですが、冒頭の「李信将軍」は信の将来の姿なのではないかという話もあります。
そこは今後の楽しみに取っておくとして、私がいつも驚くのが1,254戦も仕合をしていた信と漂の2人です。
仮に1戦を3分としても、3,762分=62.7時間も本気の打ち合いをしていたことに、、、
この仕合で信の基礎体力や剣術は鍛えられたので、信の身体には漂の血や肉が入っていると言っても全く言い過ぎではありません。
また、里典が実は優しいのも2人にとっては幸運だと思います。この時代の奴隷なんて本当に人でなし、逆らったり口答えなどしようもんなら命がないレベルだと思うので。
そしてこの第1話では、漂の死の場面で、無念にも関わらず信や里典の心配をし、信に無念さを出すことなく想いを伝えるシーンが泣けます。。。
第1話で主要人物が死ぬ漫画は多々ありますが、読み返す度に漂のキャラクターが立ってきて、死ぬ場面で泣けるという素晴らしい回です。
漂の活躍をもっと見たかった。。。